以前
“リハビリテーション誌”に
掲載させていただいたものを
どうせならアップを.....と思いました。
私は30歳代の若さである朝突然、倒れました。
病名 “脳出血”
原因 “不明”
障害 “左半身麻痺”“一種一級”
倒れるまで仕事が、とても忙しく毎日飛び回っていました。
それが、ある朝突然......何もかもが変わってしまい
自分自身を嘆き悲観し絶望のどん底でした。
そんな私は、リハビリ病院で“心理”の先生にお世話になっていました。
その“心理”の先生から“PCを始めてみたらどうだろうか”と薦められました。
それまで私は、インターネットとまったく無縁だったので“私に出来るのだろうか......”と
そんな不安を抱えながらも
インターネットで私と同じ病気の方の個人のHPを見る事から始めました。
私は無我夢中でHPを覗く毎日が続き、ある種の勇気を頂きました。
“私だけじゃない......” という安心感。
私は入院中、心理の先生に教えてもらいながら夢中で勉強をしました。
キーボードの配列から入力の方法、メールの打ち方、HPの掲示板への投稿等。
何もかもが初めての事で戸惑う事ばかりでした。
友達にもメールが打てるようになり、閉ざしていた私の心も少しずつ広がり始めました。
私と同じ病気で私と同じくらいの年代の人と色々な話がしたい、情報も欲しい。
私は、片麻痺のメーリングリストに入りました。
その頃、私自身メーリングリストって何だろう......という感じで、
全然 わかっていませんでしたが
話がしたい、ただそれだけで必死にHPを見て勉強をしました。
メーリングリストとは、一つのアドレスにメールを投稿すると、
そのメーリングリストのメンバー全員に同じメールが届くといったシステムです。
メーリングリストに参加して“初めましてメール”を簡単な自己紹介を含めて出しました。
正直すごく勇気が必要でした。どんな返事が返ってくるのか......
メーリングリストで私の“初めましてメール”の投稿を読んだ方からの返信メール。
すごく嬉しかった。そこで初めてネットを通しての友達が出来ました。
しかも私と同じ境遇の友達。
“脳出血”この病気は年配の方が多く
入院中も私の周りは人生の大先輩の方ばかりでした。
それがネットを通して同年代の人と知り合えた。
私は嬉しくて嬉しくて毎日毎日色々な話をしました。
習うより慣れろ。とよく言いますが、その通りでした。
楽しくて楽しくて気がついた時にはキーボードの配列も自然と覚えていました。
毎日ネットで色々な話をしました。
以前からの友達みたいになるのにも、そう時間はかかりませんでした。
そんな中、一人の彼女と色々な話をするようになりました。
そして、ネットだけでなく会いたい、そんな気持ちになりました。
その彼女も私と同じで片麻痺、結婚もされていました。
お互いの旦那の都合を聞いて4人で会う事になりました。
それまで私は、ふさぎこんでいる毎日でしたが、ネットを通して友達も出来、
話をするようになって実際に会える。少しずつ私の世界が広がっていきました。
どうしても身体が不自由になると家に引きこもりになります。
でも情報も欲しいし、おしゃべりもしたい。
それをクリアーしたのがインターネットでした。
病院を退院し、リハビリ訓練センターも退所して
自宅での新しい生活が始まり時間にもゆとりが出来、
私自身、何かをしたい、時間だけはタップリあるのだから、それを使わない手はない。
私に、何が出来るのだろうか......そう考えた時、
この若さで“脳出血”になった。この貴重な体験を自分のHPにまとめてみよう。
伝えたい事は、たくさんあるし毎日の生活が私の情報発信になる。
問題は、作り方が全然わからない。
私はその頃、長野市の障害者福祉センターへリハビリに通っていました。
その福祉センターの中に、障害者自立支援センター“マイステップ”があります。
そこで相談をしました。
自宅まで出張をしてくれてHPの作り方を教えてくれる人がいないだろうか......
私は必死に情報を探しました。
人というのは何かを必死にがんばろうとすると必ず、それを応援してくれる人が現れる。
私は、その事を実感しました。何も行動を起こさなければ、何も始まらない。
私はそんな中、障害者の支援をしてくれる、
ボランティア団体の“ヒューマンネット長野”で教えてくれる人がいる。
という事情報を得ました。
早速、手続きをして連絡を待ちました。
連絡がくる前に私が体験した事をまとめておこうと思いワードで文章を打ち込みました。
面白い事に実際自分に振りかかった事ですからスラスラと文章が出てきました。
私は、ありのままに文章に綴りました。
HPを作る段階で思った事は、わからないところは何度でも聞く。
そうする事で新たな事も、わかってきました。
それと私は、HP作成を実現したい、そういう思いが強かったので
予習、復習は欠かせませんでした。
今日、教えてもらった事を忘れないうちに、
その日の内に同じ事を繰り返し復習しました。
自分のHPを早く作りたいという目的があるからこそ、出来た事だと思います。
そしてHPを立ち上げて半年が過ぎた今、ネットを通して、お友達が増えました。
片麻痺になって、何も出来なくなったと嘆いていた頃が懐かしいくらいです。
掲示板に来て下さる方々との、オフ会も実現する事が出来ました。
オフ会とは、通常ネットはオンラインで結ばれています、
それに対して、オフラインつまり、ネット以外で会うという事です。
初めてのオフ会は、私の住む、信州で一泊二日でした。
オフ会の案内も、連絡事項もすべて、掲示板上で行いました。
ネット以外で初めてのご対面。とても、不思議な事ですが、
毎日ネットで話をしているせいか、どなたも初対面の感じはなく、
面白いほどにイメージ通りでした。
必ず大爆笑から挨拶が始まりました。
私は、インターネットで自分自身が広がりました。
すべてにおいて言える事だと思いますが目的をもって行動する。
必死にがんばる姿を見て応援してくれる人が必ずいる。
私は、身を持って実感いたしました。
その人その人に備わっている道が必ずあるという事も
インターネットを通して教えられました。
身体が不自由になると今までのような、お付き合いは出来ませんが
ちょっと手段を変える事で、お付き合いは充分出来ます。
私はインターネットを通して生きる勇気を頂いた出会いがありました。
私は倒れてからしばらくは欝状態でした。
そんな時
インターネットを通して34歳の時に脳出血で倒れ
にも関わらず倒れてから18年間いつも熱く正直に前向きで
とてもストレートな生き方をしている方と知り合いました。
私は たとえ片麻痺でもこんなに素敵な生き方が出来るんだと
生きる勇気と希望をたくさん頂きました。
インターネットが私を救ってくれた
と言っても決して過言ではありません。
社会福祉法人鉄道身障者福祉協会発行
「リハビリテーション」誌 第459号掲載
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